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この本を読んでほしい人
・頑張っているのに成果が出ないと感じている人
・ダラダラ働いてしまい、時間だけが過ぎていくことに悩んでいる人
・「長時間働く=正義」という価値観を見直したい人
・ライフワークバランスを見直し、自分の時間をもっと大切にしたい人
「もっと早く知っていればよかった」――そう思わずにいられない一冊です。
本書『ドイツ人のすごい働き方』は、タイトル通り、「休んでいるのに、なぜか成果を出しているドイツ人」の働き方に焦点を当てたビジネス書です。
ドイツ人は限られた時間の中で、最高の効率を発揮して結果を出します。
例えば、以下のようなデータがあります(P6参照):
- ドイツのGDPは日本を抜き、世界第3位(2023年)
- 労働生産性は日本の約1.5倍(2022年)
- 年間労働時間は日本より266時間も短い(2022年)
- 平均賃金は日本より約40%高い(ドル換算・2022年)
つまり、「短く働いて、高い成果と報酬を得る」――それがドイツ流なのです。

本の内容
ドイツの文化:時間は命と同じくらい大事
ドイツでは、個人の時間が最も尊重されます。
そのため、「残業して頑張る」という発想自体がありません。
労働時間内で仕事を終わらせるのが“常識”として文化に根付いています(P11)。
朝の過ごし方にも特徴があります。
ドイツ人は朝6時には動き出し、会社にある「カフェ」スペースでエネルギーを高めます(P14)。

そして、「思考のスケールは作業スペースの広さに比例する」という考えのもと、午前中は誰にも邪魔されず、創造的な仕事に集中するのです(P16・P19)。
この「朝の時間を創造的な仕事に使う」姿勢は、他の生産性本でもよく語られますが、ドイツ人はそれを本当に実践していました。
さらに、昼食後には軽い散歩をして、午後の集中力を回復。
空気の澱み(よどみ)にも気を配り、職場ではこまめに換気をする文化もあるそうです(P22)。

また、会議も非常に効率的です。
事前にテンプレートを準備しておき、会議中に「速報版」の議事録を完成させる。
その後、必要に応じて「正式版」にまとめるという形で、目的や場面に応じて使い分けをしています(P28)。
片付けの習慣も、幼少期からの家庭教育の中で自然と身につけられています(P33)。
整理整頓された環境が集中力を高め、ストレスを減らすという効果があることも、さまざまな研究で明らかになっています(P34)。
ドイツ社会の仕組み:自分の人生を自分で決める
ドイツでは「自分の人生は自分で構築する」という“自己決定”の考え方が強く根づいています(P40)。
そのため、休暇も「ひねり出すもの」ではなく、「年始に決めてしまうもの」として予定に組み込まれます(P45)。
また、休暇と一緒に1年の目標を定めることで、日々の生活にも意味を持たせる文化があります。
旅行は、ドイツ人にとってただの娯楽ではなく、「自分の時間をどう使うか」という選択の表れでもあります(P41)。
そして、彼らが「何もせずに何週間も過ごす」ことを選ぶのは、ある種のマインドフルネス的行動ともいえるのです(P49)。

経済復興の過程で生まれた「生活の質を重視する」労働観が、ドイツ社会にはしっかりと根づいていることが分かります(P54)。
ドイツ式働き方:15分の積み重ねが成果を変える
本書では、生活のちょっとした工夫が大きな成果につながることを教えてくれます。
たとえば:
- まずは15分だけ早起きしてみる(P83)
- 起床後のルーティンを自動化して二度寝を防ぐ
- 14時以降はカフェインを避ける
また、「仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する(P99)」という法則が紹介されています。
だからこそ、最初から時間を限定して仕事に取り組むことで、効率が高まるのです。
普段から、散歩や昼寝、モニターから離れる時間をとってリセットボタンを押す。
週末には意識的にメールやチャットからも離れる(P106)など、リカバリー時間を非常に重視しています。
また、帰宅前の15分で「明日やること」を青色インクでメモしておき(P125)、
翌朝、最初の15分で「今日やること」の優先順位を決めてスケジューリングする。
こうした短時間の準備が、大きな違いを生むのです。
ドイツ式マネジメント:論点は明確に、相手の人間性は否定しない
マネジメントにおいても、ドイツ流の知恵が光ります(P140)。
- 弁論術その1:論点を明確にする
- 弁論術その2:相手の意見をよく聞く
- 弁論術その3:相手の人間性を否定しない
さらに、チームのタスクを洗い出し、「個人依存度が高い業務」を明確にすることで、システム化やチームの持続性を向上させる(P158)。
ハイブリッドスタイルのすすめ:日独のいいとこ取り
日本人が得意とする「空気を読む力」に、ドイツ人のように「あえて空気を読まない選択」を加えることで、最強のハイブリッド人材になれる(P183)という指摘も印象的でした。
また、日々の業務を以下のように整理することで、忙しさから抜け出すことができるといいます:
- 考える時間を確保する
- 業務の全体の流れを文書化する
- 業務を「定型業務」と「非定型業務」に分類する
- 「定型業務」をマニュアル化する
- 「定型業務」を自動化、もしくは人に任せる(P172)
「フロー型(流れ作業)」の仕事ばかりをしていると、永遠に忙しいまま(P175)。
一方で、「ストック型(資産化する)」仕事を増やすことで、人は成長のスパイラルに入っていけると語られていました。
まとめ
本書を通して繰り返し語られていたテーマは、「同じ時間を使うなら、よりムダなく、より無理なく多くの成果を出すにはどうすればいいか」ということ(P184)。
そのヒントはとても具体的で、明日から実践できるものばかりでした。
- 朝の時間に創造性の高い仕事を持ってくる
- 仕事にかける時間を先に区切ってしまう
- 短い休憩を取り入れて脳をリセットする
- 1年の始まりに、休暇と目標を決めてしまう
- 自分の業務をマニュアル化し、人に任せる
「もっと頑張る」ではなく、「もっと整える」。
そんな視点で働き方を見直したい方に、本書は強くおすすめできる一冊です。
※記事内容は『ドイツ人のすごい働き方 日本の3倍休んで成果は1.5倍の秘密』(著:西村栄基/発行:すばる舎)に基づいて執筆しています。
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