ゼロからはじめる 稼ぐ農業 必ず知っておきたいこと100

ビジネス

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この本は、どちらかというと農業に対して厳しい目線で書かれていると思います。具体的には、「これをすると絶対に稼げるようになる」と淡い期待を読者に抱かせる本ではなく、むしろ「お金の管理がずさんだったり、作る作物や販売経路を間違えたりすると儲からない」と訴える本でした。

一言でまとめると、お金の管理を徹底し、基本に忠実に農業を始めるのがベターであると書かれていました。

簡単に稼げるほど農業は甘くないと現実を教えてくれる本だったため、個人的には好印象を受けました。

農業で失敗しないために、農業を始める前にぜひ読んでみてほしいです。

この本を読んでほしい人

・「脱サラして農業をやってみたい」と思っている会社員の方
・田舎暮らしや自給自足に憧れている方

そんな方にこそ読んでほしいのが、『ゼロからはじめる 稼ぐ農業 必ず知っておきたいこと100』です。農業の理想と現実、成功のために必要な知識が100項目にわたって実践的に紹介されています。

本の内容

会社員と農家の違い

会社員は労働時間が決まっていて、収入も安定しています。厚生年金に加入することができ、また確定申告は会社が代わりに行ってくれるため、面倒な書類手続きは基本的に不要です。

一方、農家は天候に左右されるため収入が不安定であり、保険や確定申告も自分で行う必要があります。自由な働き方ができる反面、リスクも大きいのが農業の特徴です。

農業=経営という考え方

農家は単なる「作物を作る人」ではなく、「経営者」です。事業計画、販売・マーケティングなど、多岐にわたる業務を一人でこなす必要があります(P290)。加えて、地域との人間関係がとても大切になり、一人で黙々と作業していればうまくいくわけではありません。

農業とは、企業を運営することに等しいのです。

専門家から学ぶ姿勢

栽培技術は自己流ではなく、プロ農家から学ぶことが重要です(P38)。「自己流は事故る」(P296)という言葉が象徴的で、頼れるメンターを見つけることが成功への近道だと本書は説いています(P270)。

具体的には、農地がきれいに整備されていて、かつ農業で稼げている農家に師事を仰ぐべきとのことです。稼げている農家の土地はきれいに整備されていることが多いそうです。

また、農業で稼げている農家は、稼ぐ術を知っているため、メンターとして適任です。一方で、稼げていない農家は稼ぎ方を知らない可能性が高いため、メンターとしては適さないでしょう。

あなたは、最も一緒に過ごす時間の長い5人の友達の平均になる

Jim Rohn

この言葉は、一流のコンサルタントのジム・ローン氏が残した言葉です。あなたは、あなたの周りの人に大きく影響を受けると説いています。すなわち、農業で稼いでいる人と共に過ごせばあなたも稼げるようになる、と言えます。

絶対とは言えませんが、稼げていない人と行動を共にするよりも、農業で稼いでいる人と行動を共にするほうが、あなたが稼げるようになる確率は高くなるでしょう。

値段のつけ方と販売戦略

作物の価格設定も農家の大切な仕事のひとつ。原価や市場相場、小売店や贈答用など、売り先によって価格を変える戦略も紹介されています(P50)。「作るだけでなく、どう売るか」が問われます。

補助金・助成金の活用

農業には多くの補助制度があります。たとえば「農業次世代人材投資資金」や「経営発展支援事業」などがあり(P75)、初期投資の負担を軽減するための有効な手段となります。補助金の一覧も掲載されており実用的です。

農業簿記とお金の管理

農業簿記を学ぶことのメリットとして、①確定申告を自分でできる ②節税につながる ③お金の知識がつく、といった点が挙げられています(P94)。

①について、税理士に依頼すると、その費用は10万円程度必要になるため、自分で確定申告をすることでそのお金を浮かせることができます。②は、農地までの交通費や苗代などを経費にすることで節税になるということです。

収支管理ができるかどうかは、農業経営において非常に重要です。

シャドウワークの存在

農業には「見えない仕事」がたくさんあります。例えば、地域の自治会への参加、草刈り、除雪、機械のメンテナンス、書類作成など(P106)です。

これらも含めて農業であることを、あらかじめ知っておく必要があります。

知っておきたいリアルな現実

現実的なアドバイスも満載です。地域にブランド力があれば販路が確保しやすい(P122)こと、土地がすぐ見つかる地域は利益が出にくい可能性があること(P162)が述べられています。

また、有機農業で稼ぐのは難しく(P175)、頼まれた作物を作るほうが販路が安定する(P186)という意見も紹介されています。理想だけではなく、実利を見据えた判断が求められます。

まとめ

この本は、農業を「夢」で終わらせず「仕事」として成功させるための実践的な指南書です。補助金制度や地域との付き合い、現場での失敗と成功のポイントなど、現実的な情報が詰まっています。

「自己流は事故る」「人間関係を大切に」といったラストのメッセージ(P296、P302)は、農業に限らずあらゆる仕事に通じる本質を突いています。

これから農業を始める方、興味を持っている方にとって、最初に読むべき一冊としておすすめです。


※記事内容は『ゼロからはじめる 稼ぐ農業 必ず知っておきたいこと100』(著:高津佐和宏、寺坂祐一、潮田武彦/発行:あさ出版)に基づいて執筆しています。

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